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2018.07.29

深い雪色の静かな森で

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20代の頃、

1年だけ、カナダのバンフという小さな街に住んでいた。

上の写真は、

当時プリントした写真をiPhoneでパチリと撮ったもの。

住んでいた家から歩いてすぐの川。

画像がかなり悪くなってしまうけど、雰囲気は伝わるだろうか。

冬は常に雪のある景色だ。

最近よく、

大自然の中過ごした、あの頃を思い出す。

思い出すのは大抵、雪の景色だ。

1月、2月の深い雪色の静かな森。

足跡が残っていない、街から少し離れた雪道を、

完全装備、何かあった時のためにリュックに食料を入れてよく散歩した。

上も下も右も左もない、真っ白な、銀世界。

このまま消えてしまったら・・・と思う怖さと

そんなこともあるだろうなとすんなりと受け入れる気持ち。

まるで雪が手のひらの体温で姿を変えるごとく、

とても自然に感じていた。

ある日、

吹雪いてきたことだし、そろそろ引き返そうと

歩いて来た道を戻り始める。

しばらくすると、

少し離れた森の中にいるオジロジカに遭遇した。

数秒の沈黙。

お互い目を合わせ、瞬きもしない時。

視線がはずれたその瞬間、

オジロジカはピョンピョンと予想できない方向に飛び跳ね、

消えてしまった。

目でその姿を追えないくらいの速さで、あっという間に。

そこに残されるのは雪が降りしきる音のみ。

感覚がなくなるほどの寒さなのに、心は解放され広がっていく。

私は確かにそこにいた。

カナダの夏が終わると短い秋が過ぎ、寒く美しい、あの冬がやってくる。

そこではきっと、

あの頃と同じように、

雪が降り、オジロジカがピョンピョンと跳ねている。

「しん」とした音がする吹雪の中、

オジロジカと遭遇した時を思い出すと、

なんともいえない豊かな気持ちになる。

たとえ、今、大自然から遠く離れた場に身を置き生活をしていたとしても。

こことあの場はつながってるいるのだ。

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